微温湯 眼に効く温泉

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 福島県の微温湯(ぬるゆ)温泉に泊まった。この宿は吾妻小富士の中腹、標高1000メートル近いところにある温泉だ。(写真は昔の微温湯温泉)

 微温湯温泉については、ホームページの Editor’s Picks 第1回に紹介したことがあるが、それ以前にも、それ以後も何度も訪れている。微温湯は名前の通り30度ちょっとと湯がぬるい。始めてきた人は、ぬるくて駄目だといってちょっと入っただけで出て行ってしまったりする。浴室には体を温めるための温かい沸かし湯もあるが、この温泉はわかすと効能がなくなるということで湧出したままの湯をポンプでくみ上げて浴室にパイプを使って流し込んでいる。

 温泉の効能はいろいろあるが昔から眼の温泉として有名で、近在だけでなく遠方からも訪れる人が絶えない。今は自炊客も少なくなったと思うが、炊事場も完備されているし、洗濯機、冷蔵庫も用意されている。自炊でなくても中には1ヶ月近く滞在する人もいる。

 湯がぬるいので必然的に入浴は長時間になる。そうした中でお客同士会話が弾む。話題はやはり眼の病のことだ。ここに通っているうちに、失明してしまった眼に光が戻ったという人もいた。

 先日は、網膜剥離で「もう、あなたの眼は手術ができません」と医者に見放された人が湯治にやってきたそうだ。しばらく滞在して帰宅してから再度病院に行ったところ、手術可能なくらいに回復していたという。温泉の効能書きには、下の方に「効能伝 眼病」と書いてあるだけで、眼病に効くということはうたっていないが、このほかにも眼が良くなったといった類の話はたくさん聞く。

 微温湯の先代の主は、吾妻連峰を世に知らしめた方だ。微温湯からも吾妻小富士への登山道があるが、この登山道はもちろん、磐梯吾妻スカイラインも先代の働きで出来たそうだ。そんないきさつからか、いまでも、吾妻小屋もこの旅館 二階堂(微温湯)が経営している。

 ゴールデンウィークは大分混雑したらしいが、それを過ぎていまは一段落。「天候不順で農作業が遅れているから今年はお客の出が遅れています」と女将が話していた。

 耳を澄ますと、森からはアカゲラが木をたたく音、ウグイスやシジュウカラの囀りが、細い流れの岩間からはタゴガエルの恋のささやきが聞こえてくる。そんな静かな温泉だ。

コメント

  1. 菜園ブログ より:

    微温湯温泉
    名前は聞いていますが、残念乍行ったことは有りません。ゆっくりと温泉に浸かっている感じがしました。

  2. 吉ちゃん より:

    微温温泉
    私も温泉が大好きです。
    7年間東北で仕事をしていたときは役得で仕事の帰りはあえてビジネスホテルでなく温泉旅館に泊まって汗を流しました。
    残念ですが名前は聞いていましたがこの微温温泉には
    行っていませんがきっと心のリフレッシュを楽しんだ事と思います。 新潟県の駒ケ岳の下にランプの宿がありそこの露天風呂も29度の温かさしかなく1時間半も入っていた事がありました。そこの温泉も眼に良いと言うので眼病の人が何日も泊まってそこの温泉に浸かっていました。今頃は夕方になると河原からカジカ蛙がうるさいぐらい鳴いています。思い出します。