なます(膾) 紅白なます

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我が家で正月に食べる「なます(膾)」はニンジンとダイコンを使った「紅白なます」だ。

ニンジンとダイコンを混ぜると、ニンジンのアスコルビナーゼという物質がダイコンのビタミンCを壊してしまう。アスコルビナーゼは、ビタミンCを分解する酵素だからだ。この物質は、ニンジンのほかにもキュウリ、カボチャ、バナナ、リンゴなどに含まれている。だから、これらの野菜や果物とビタミンCを含む野菜や果物を一緒に食べるとビタミンCの効果がなくなってしまうのだ。

しかし、アスコルビナーゼは酸に弱いから、酢を加えることによってビタミンCの分解が押さえられる。「紅白なます」は酢を使うのでビタミンCの酸化が防げるのだ。これぞ先人の知恵だ。

「紅白なます」は、ダイコンとニンジンを縦に細く切り、塩で揉んでから軽くしぼる。我が家では、さらに、はさみで細く切ったコンブをさっと湯通して、ゆで汁と一緒に和える。そして、最後に細く千切りにした柚の皮をまぜ「合わせず(甘酢)」で漬ける。

「紅白なます」は、ニンジンが赤くダイコンが白いので、「げんぺいなます(源平なます)」ともいうそうだ。酢をつかった料理は、疲れた胃を回復させる効果がある。そんな意味でも、正月には欠かせない「お節料理」のひとつだ。