ソラマメの早熟栽培

シェアする

Pocket


 うちの田舎では、いまスイカの接ぎ木で忙しい。ビニルハウスやトンネルで栽培する早出し用の接ぎ木苗づくりだ。

 野菜も果物も旬に収穫するのがいちばん美味しいと思うのだが、まだ珍しい時期に出せば高く売れるので当たり前の時期には「うらなり(末成り)」しか手に入らない。
 ※スイカなどの味だけでなく、キュウリなども、生育末期に蔓の先端(末)になったものは、形も味も悪い。

「イチゴの旬は何時?」と聞かれたら、子供だけでなく大人でも迷ってしまうだろう。本来は初夏の頃になるのが当たり前だったが、いまは大きな冷蔵庫に苗を入れて早く花芽を作らせるのが一般的だ。通常なら、日が短くなると苗の成長が止まり(休眠)、寒さに一定期間あうと再び成長して花を咲かせるのだが、今の栽培は苗を眠らせないで早く花を咲かせてしまう。

 どこぞやの有名人が、「鶏を眠らせないで卵を1日に何個も産ませる」といって、話題になった。確かに夜間電気をつけることによって卵をたくさん産むようにはなるが、1日1個以上は無理だ。その話は別として、イチゴも夜間電照すると眠らないで生育し続ける。ただし、苗が生育しつづけるためには加温が必要だし、花が凍害にあわないようにするためにも加温が必要だ。また、受精させるために授粉昆虫も室内に放す。

 こうして栽培すると、クリスマス頃にはイチゴの収穫が可能になる。そして、その時期の収穫物が高価に取引されるから、本来の「旬」の頃には国内産は探し回らないと手に入らなくなってしまうのだ。

 

 実家の近所の畑には、この時期、ビニルのトンネルがたくさんある。トンネルには丸い穴が開いていて、気温が高くなっても自然に換気ができるようになっている。中を覗いてみると「ソラマメ」が数センチの高さに育っている。早熟栽培のソラマメだ。ソラマメくらいは旬に食べたいと思うが、もはや、旬は家庭菜園でしか味わえない味になってしまったようだ。