ヤマブキの蕾が膨らんできた。風水では庭の西側に黄色の花を咲かせたり、部屋の西側に黄色い絵を飾ったりすると金運がますということだ。黄色といっても黄金の色がいいということでヤマブキを植えてみた。
ヤマブキというと、「七重八重……」という歌が有名だ。多くの人が、「ヤマブキ」と「実のひとつだに」だけが印象にあるらしく、ヤマブキは実が着かないと勘違いしている人が多い。だが、注意して読めば「七重八重」、つまり八重のヤマブキだということが分かる。
八重のヤマブキは実が着かないが、ふつう、山に生えているヤマブキは一重だ。一重のヤマブキは実が着く。
ヤマブキをみると理科の時間を思い出す。顕微鏡で葉の組織を観察する授業で、切片を作るときに使ったのが、ヤマブキの髄だ。専門用語ではピスというらしいが、髄に縦に切れ目を入れて、そこに葉を挟む。そして安全カミソリの片刃をつかって葉を薄く切る。と、言葉でいうのは簡単だが、厚いと顕微鏡で見たときに真っ暗で何も見えない。ミリではなくミクロン単位で切らなくてはならない。何回切ってもうまくいかず作業を投げ出したくなったことを思い出す。
今はミクロトームという便利なものがあるから、簡単に切片が作れる。しかし、高価な器具だからどこにでもあるというものではないので、やはり苦労して切片を作ることになる。
ピスの材料にはヤマブキのほかにニワトコの髄を使うが、最近は手に入りにくくなった。そこで硬めの発泡スチロールを使う。味気ないような気もするが、これも時代の波だから仕方がない。
従来植物から採取されたピスと言えば、ほとんどがこれら2種類のものでしたが、柔らかな髄を持った植物ならひろくピスとして使うことができます。乾燥した キビなども同じく使えます。きのこのような脆くて柔らかいものを挟んで切り出すには、柔らかめのピスが望まれます。ヤマブキの髄は柔らかくとてもよいので すが、一般的には4~6mm程度の太さのものしか得られません。
ネットで調べてみたらキブシの髄が使いやすいらしい。キブシは、ブルーベリーを大きくしたような黄色い花が房状にぶら下がって咲く。早春、葉がでるまえに咲くので遠くから見てもよく目立つ。以前はどこにでもある雑木だったが、最近は盆栽仕立てなどにもする。
ところで、ヤマブキの風水効果だが、まだ金運といえるような実感は全くない。
コメント
ヤマブキ
専門分野の文章は力があります、次々に涌き出る知識が出てきて、一気に読ませてもらいました。