東北自動車道の某サービスエリアにある裏山でギンランが咲いていた。建物の裏側にある林の中だから、誰でも気づくような場所だが、花が目立たないからか採られずに生き延びていた。
ギンランはラン科の植物。黄色いキンランに対して白い花なのでギンランという名がついたのだろう。べつに、一時マスコミを賑わした、あの、きんさん、ぎんさんにあやかったわけではない。キンランもギンランも一昔前はどこでも普通に見られる植物だったが、開発と乱獲によって近頃は珍しい植物になってしまった。
先日は、新座市の平林寺境内に1本だけ咲いているの見つけて写真におさめたが、サービスエリアには僅か一坪くらいの所に数本咲いていた。何とかしてこのままの状態を保護していきたいものだ。
ラン科の植物の種は非常に小さく胚を成長させるための胚乳をもっていない。そこで、ラン菌というラン科の植物と共生する菌類がないと発芽出来ない。だから、種を播けば発芽するほかの植物とは違い、特殊な方法を使って発芽させる。やたらに種を播いても芽の出ることはまずないのだ。
高価なランではバイオ技術(茎頂培養や無菌播種)によって繁殖するのだが、ギンランのような野生ランは殖やしてもお金にならないので企業は見向きもしない。
シランもラン科だが、こちらは良くふえる。段ボールをたてに敷き詰めた上に赤玉土と水苔を混ぜて乗せて種を播き、土が乾かないようにしておくと比較的簡単に芽が出る。ウチョウランなども同じような方法でよく発芽するそうだ。
それではと、コチョウランやカトレアで実験してみたが、どうもうまくいかなかった。コチョウランやカトレアは着生ランといい樹上などに生えるランだが、ウチョウランやシランなどは地生ランだから、その違いがあるのだろう。ギンランも地生ランだから、きっと、同じ方法で発芽させることが出来るのではないかと思う。いつか試してみたい。
※写真のギンランは福島県の某山中で撮影したもの。20株ほど群生していた。
※ギンランの花は、ほかのランの花のように開かずに、つぼんだような形の花だ。
コメント
Unknown
私の住んでいる裏山と言っても海抜80メートルの丘にも5月の初旬~中旬にかけてキンラン、ギンランが咲きます。この丘は自然公園になっていて一時荒らされて絶滅のような状況でしたが自然環境委員などの尽力で随分咲く様になって近在からカメラを持って撮影する人たちでにぎあうようになりました。そこのギンランはササバぎんらんと呼ばれています。葉が笹に似ているからそう呼ぶのでしょうか?
Unknown
ササバギンランは、葉が少し狭い種類なのでしょうか。岐阜県に住んでいたときには、家の裏山にササアバギンランがたくさん生えていました。
このギンランも、まだ図鑑で詳しく調べていないのでどちらか分かりません。