地元で「ほたる鑑賞とミニコンサートの夕べ」が催された。二十数年まえまでは夏になるとホタルの飛び交うのが当たり前だったのだが、いまは住宅街へと変貌しホタルの姿は消えてしまった。
このイベントに使ったホタルは、地元の「ホタルを守る会」の方が、元々地元にいたホタルのDNAを絶やさないように自分の家で繁殖し守り続けているものだ。イベントの主催は、新しく建設中の県立公園に地元の意向を取り入れて貰おうと発足したNPO法人(申請中)。この公園は、里山をイメージして作られるということで、すでにトンボ池などの準備が進められている。そこに、ホタルの棲める環境も再現したいというのが、NPOの意向だ。
ホタルの生育環境には餌となるカワニナが必要だ。そのカワニナは、水中に落ちた木の葉などの有機物を餌にする。同じ木の葉でも栄養価の高いものと低いものがあるから、それにあった樹種が必要になる。また、カワニナが生育するためには、餌だけでなく水中に酸素が十分あることも必要だ。それには流れもいる。
人工飼育では、幼虫が小さいときにはカワニナを小さくちぎって与えるということをする。野生の幼虫にはそのようなことは出来ない。だから、孵化したばかりのホタルの幼虫には、それに見合った大きさのカワニナの稚貝が生息していることが必要になる。しかし、そこはうまくできたもので、自然界ではホタルが孵化する時期はカワニナの稚貝の発生する時期に当たる。※写真はホタルの孵化直後の幼虫
いちど失われた環境を復帰することは大変だ。木や草を植え、水を流せば元通りになるというものではない。草はすぐに根付くかも知れないが、樹木は移植したものと、実生で育てたものとは根張りが違う。本当の自然を作るには実生からじっくり育てたものが必要だ。そのためには、何十年もの歳月を要する。そうして、植生が回復出来て、初めてホタルがよみがえる。どこかで養殖したホタルを放して見たところで、棲める環境でなければホタルがよみがえることは絶対ない。いっときのイベントで終わってしまうのがおちだ。
昨夕は、時折、雲間から月も顔を見せ絶好のイベント日和となった。園芸用のパイプハウスと遮光シートを張った手作りホタリウムに、網を張った数個のホタル箱を吊した。飛翔する一回目の時間帯は8時頃からということだが、理論通りその頃になるとカゴの中をホタルが飛び交う。初めてホタルを見る子供達は興奮気味に歓声を上げながら見入っていた。
さて、このイベントでどのくらいの人が、自然に対する感心を深めてくれただろうか。NPOの成否はその関心度に左右されるように思う。私は公園の植生担当ということになっているのだが、はたして、数十年後に期待通りの里山は復元出来るのだろうか。
コメント
ほたる
一瞬見たとき、抽象絵画か?と見間違いしました。 何年先か、ほたるの飛び交う山里になってほしいですね、関係者の皆様にエールを送りたいと思います。
Sasagawa さま
有り難うございます。県がどのくらい我々の意見を聞き入れるかにもかかっています。
ほたる♪
そう言えば~最近、見なくなりましたよね…ほたる。
ホント、壊す事は簡単だけど…元に戻す事の大変さ…。すべて人間の勝手による結果というのが、悲しいですね。
ホタルを守る会の方々の努力が、報われる日が来ると良いですね!(#^_^#)
ほたる
ほたる、大切にしたいものですね。
守る会の人々の努力に、敬意を表したいと思います。
蛍の光、眺めたことありません。
眺めたいものです。
siawasekun さま
岐阜でも、もうホタルがいないんですか?
自然の復活には時間がかかります。これ以上自然が失われないように食い止めたいものですね。
ホタルいるようですが、・・・・。
岐阜にも、いるようですが、・・・・。
私の身近では、見られません。。
いろいろ探してみたいと思っています。
見つかると、いいのですが、・・・。