暮に、葉付きの「ダイダイ」を買ってきた。ダイダイはインド、ヒマラヤ原産のミカン科の植物。
果実が落ちにくく、前の年のものが次の年の夏まで落ちずに木になっている。つまり、昨年の果実と当年のものが1本の樹になることから、代々(ダイダイ)と呼ばれるようになったという。もう一つの説は、ダイダイのヘタ(蔕)のところが2段になっていることから、台々(ダイダイ)になったという説。他にも中国名の音からきたという説、実が大きいので大々などの説などがある。家が代々栄えるように、縁起物として正月に大きな鏡餅の上に載せて飾ったり、しめ飾りに用いたりする。
秋にとった実を乾燥させたものを枳実(きじつ)、熟した果実の果皮を乾燥させたものを橙皮(とうひ)といい、生薬として用いる。健胃、去痰(たんを切る)、緩下作用(つうじをよくする)があるそうだ。橙皮の成分はリモネンという成分だが、リモネンは発泡スチロールをリサイクルするときに溶剤として使われるそうだ。
ダイダイは皮が苦く酸味が強いので生食には適さないが、砂糖で煮てマーマレードなどに加工する。また、果汁は絞って果実酢として用いる。ポン酢というと、最近はいろいろな原料のものが販売されているが、このダイダイの果汁こそが正真正銘のポン酢だ。