ウド

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 ウド(独活)の爽やかな香気は春野菜の代表格だ。そのうえ、ウドには、食べて美味しいだけでなく薬効もある。生薬名を「独活:どっかつ」という。

 「独活の大木」とか、「独活の大木柱にならぬ」という諺のとおり、ウドの茎は長く大きくなってもやわらかくて何の役にも立たないが、若い茎が美味しいだけで十分だ。

 ウドは、ウコギ科の多年草。地上部は冬には枯れる。野菜というと外国原産のものが多いが、ウドはセリやフキ、ワラビなどとともに数少ない日本原産の野菜だ。茎が白い「軟化ウド」は江戸時代末期から北多摩地方を中心に生産されていたが、いまでも、東京のブランド野菜で、立川市、国分寺市、小平市が主産地になっているという。

 軟化栽培は、夏のあいだ、畑で栽培したウドの根株を秋に掘りあげる。そして、光が当たらない軟化室(なんかむろ:赤土の畑に深く穴を掘って、その中で栽培していたのを見学したことがある)に入れ、加温して茎を伸ばすのだ。茎が太く真っ白で、歯切れがよく、香気があるものが良質のウドだ。軟化ウドはどんな品種でもできるわけではなく、そのための品種改良もなされている。

 ウドの食べ方はいろいろあると思うが、酢のものが苦手だった高校生の頃は、スライスしたものにマヨネーズをつけて食べていた。ひとにその話をすると変わり者のようにいわれたが、いまはこの食べ方も市民権を得たようだ。