ジュンサイの花

シェアする

Pocket

 画像はジュンサイの花。午前9時頃の様子だ。

 アサガオやムクゲなどの花のように、およそ1日で、1つの花が咲いてからしぼんでしまう花を通称「一日花(いちにちばな)」という。ジュンサイは、1日目は、この写真のように雌しべは伸びているが、まわりの雄しべはまだ伸びていない。

 上の画像は2日目の花。雄しべが伸びて、葯が開いている。

 じつは、ジュンサイの花は、1日目に開花した時には雌しべだけが伸び、夜になると花弁が閉じる。そして、2日目に開花した時には葯が伸びて裂開し花粉を放出する。だから、1日で萎んでしまう一日花と違い「二日花」?といえる。2日目に咲いた時には、すでにこの花には他の花の花粉がついて受精してしまっているのだろう。

 なぜ2日に分けて咲くのかについては、次のように考えることができる。
 被子植物は、自殖(自家受粉:自分の株の花で受粉すること)を繰り返すことで、より純粋に近づく。その反面、病気に弱く、個体の生育が悪くなるものがある(自殖劣性)。そこで、自家不和合性(自分の株同士の花粉では実ができない)が自殖(自家生殖)を防ぐ最も重要な手段になる。

 ジュンサイの花が自家不和合性かどうかは知らないが、雌しべと雄しべの熟期をずらすことによって自家受粉を避けているのは確かだ。ツバキやユリの花なども雌しべの方が早く熟すが、何日も咲いているので、そのことに気がつきにくい。しかし、ジュンサイの場合は途中でいちど花がしぼむという行為と2日目に雄しべが目立つということで、雌しべ先熟がハッキリと見て取れるのだ。
 
 ちなみに、野菜のスイートコーンは雄花先熟だ。雌花が咲く(雌しべ(シルク))が出る頃には雄花は咲き終わっている。そのことにより、自家受粉を避け、自殖劣性を避けている。